馬鹿は風邪を……?(パル嬢)
(前提:学園パロ)
「……風邪は、治ったのですか?」
不意に声をかけられて、パールはスクールバックから顔を上げた。
その先には、高貴な顔立ちの少女がいる。
「おはようさん」
パールはそう答えて、取り出そうとしていたノートをしまう。
「お嬢さんが一人でこのクラスに来るなんて、珍しいこともあるんだな」
パールがそう言うと、少女はつんとして答える。
「あの方に会いに来ただけです」
あの方、と言うのはこのクラスの学級委員。
何か提出物でもあったのかもしれない。
そこで、パールは気づいた。
「そういえば、なんでオレが風邪をひいていたことを知っているんだ?」
少女は即答する。
「教えていただきました」
誰が、とは言わない。
パールは、少し離れた席で友達と話しているダイヤに目を向け、ああそうかと呟いた。
ダイヤなら、知っていることなら何でも教えるだろう。
「ま、大した風邪じゃなかったから、一日休んだら元気になったよ。……もしかして心配でもしてくれていたのか?」
冗談交じりで後半のセリフを付け足す。
すると、少女はツと目をそらした。
「していません」
さっきよりも口調が断定的になっている。
少女に、パールはもう一度聞いた。
「本当に?」
「していません」
「じゃあ、なんでわざわざオレのところまで来てくれたの?」
少し間が空いた後、少女は口を開いた。
「……心配なんか、していません。馬鹿でも風邪をひくことがあるのだなあと、珍しく思っただけです」
「それは、オレが馬鹿だって言いたいわけ?」
「それ以外の意味に、とれますか?」
パールは少しむっとした。
心配してくれたのはうれしいけれど、それとこれとは話が別だ。
「オレは、その言葉に嘘はないと思うな。現に、俺は風邪をひいたし、お前とダイヤはひいていないだろう」
「それは、自分が馬鹿でないと言いたいのですか?」
「それ以外の意味に、とれますか?」
パールは先ほどの少女の声を真似て言った。
「あと、言いたいのはそこじゃない。お前が馬鹿だってことだ」
少女が、少し顔を赤くした。
「冗談も、いい加減にしてください」
少女は気分を害したようだ。
「これ以上、そんなつまらない茶番に付き合っていられません。では、これで失礼します」
少女は、パールが何か言う前に、背を向け歩き去っていく。
その後姿を見て、パールは改めて馬鹿なお嬢さんだ、と思った。
――――好きな女に心配されて嬉しくない男なんか、いるはずないのにな。
芽吹 巴菜のみお持ち帰り可。
誕生日を三か月ほ(以下略)小説パターン2です。
一応は、パターン1の翌日版です。